パブリッシングの新しい形態が実現

wakame19772008-04-11

行きつけの中華料理屋さんの本棚に並んでいた「日経デザイン」*1
その巻は特集でPDFが扱われており、コピーライター北澤浩一さんの名前も見つけることができたので、該当個所を引用してみたい。

■パブリッシングの新しい形態が実現
 リンクをたどって行き着いたのが、PDFで表示されるハードボイルド小説「夜の魚」(yoru-no-uo)である。24ページにわたって行き届いたデザインが続く。目を楽しませるいろいろな表現上の仕掛けが施されている。表示スピードも早い。あちこちのサイトで印刷物をそのままPDF化したものばかり目にしてきたので、透過光で見る美しいビジュアルには驚いた。
 さっそく作者の北澤浩一氏(本職はコピーライター)にメールで色々聞いた。小説に対する時代の要求は、スピード感を持つ展開にあると考える北澤氏は「基本的にPDFというメディアの特質を活かし、文章と画像とデザインは等価であるという認識に立ちました。あたかも映画の一場面を見ているかのような、あるいは1枚のポスターを眺めているようなレイアウトを心掛けました。フルスクリーンモードで流した場合、デザインと画像だけでも十分楽しめることを目的としたのです。背後に音楽が流れれば申し分ありません」と言う。
 はじめはHTMLで表現したのだが、どうしてもテキストは横書きしかできず、受け手の環境によって見え方が違ってします。「オンラインで小説のような長い文章を表現しようとする場合、読みやすさや豊富な表現力、扱いと再配布の容易さという点で、Acrobatの出現は画期的なものでした」と待ちかねていたように購入したそうだ。
 「インターネットの時代に入り、私たちは単なる文字情報だけでは満足できなくなってきています。ネットサーフィンをしていると、その際との印象は往々にして最初に視覚的に飛び込んできたものによって決まってしまうことがままあります。文章の内容そのものが、そのレイアウトや背景に付加されている画像などによって無意識に推理され判断される。その上で、腰を落ち着けて読もうかどうかが決められてしまう。情報の速度ある展開。ここには再配布の容易性も含みます。同時に、従来のHTML形式では満たすことが出来なかった情報の密度と言う側面があります。自在に拡大縮小ができますから、長文であっても飛躍的に読みやすくなります。レイアウトもそうですが、含ませるが画像は圧倒的に高品位なものが選択できます。情報の密度と速度。現在、オンライン上で不可欠の要請となりつつあるふたつの要素を、PDFはかなりの程度満足させるものだと言えます。これが、私がオンラインで小説を発表する手段としてPDFを選択した主たる理由でした」。
 「夜の魚」は、読売新聞社の有料会員制インターネットサービス「YOMINET」の中の「文芸フォーラム」にある。このフォーラムは外部に公開されており、パスワードに英文小文字「guest」と打ち込めば誰でも入れる。
 北澤氏は、氏の他の作品と会わせてCD-ROM化する準備を進めている。また、紙の媒体でも掲載したいという。オンラインのPDFをほとんどそのまま印刷物に移行させるという、DTPの延長線上のPDFとは逆の試みである。

 
小説をPDFで読むのが当たり前になった今となっては・・・・・・・
あ、そんなこと無いか。まぁ10年前の発言ですからね、ズラMIXにおけるセカンドライフみたいなもんでしょ。
 
ドウシタラヨカトピア

*1:1998年4月号「PDFは本当に出版・印刷を変えるか」柴田忠男 P94〜99